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先事新聞 vol.35「新・地元愛」が、これからの地方を元気にする!?

「新・地元愛」がこれからの地方を元気にする!?

「地方創生」というキーワードが、連日メディアを賑わせている。政府は「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げるなど、省庁を越えて、人口減少や高齢化といった難題に取り組んでいる。一方で、こうした政府や自治体によるトップダウンとは別に、地元住民や出身者たちの手により、ボトムアップで「地元」地域を盛り上げようとする動きが活発化しつつあるようだ。どうやらその背景には、インターネットやソーシャルメディアの普及が大きく影響していると思われる。

例えば、動画コンテンツ『そうだ埼玉』もその一つである。『そうだ埼玉』とは、埼玉県のクリエイティブ・エージェンシーによって自主的に制作された埼玉県PR動画だ。神奈川県の『恋するフォーチュンクッキー』に触発されたという楽曲の歌詞には、「ダサイタマ」を逆手にとった「海に行くだけで旅行になる」「少し贅沢な深谷ねぎ」など「自虐ネタ」がふんだんに盛り込まれている。こうした型破りな発想が、むしろ埼玉県民や埼玉県出身者たちからの共感を呼び、ソーシャルメディア等によって拡散され、全国的な盛り上がりにまで発展した。

また、Webサイトの「東北食べる通信」は、「食べもの付きの定期購読誌」といったコンセプトが話題を呼んでいる。毎月東北各地の生産者を特集記事として紹介し、彼らが収穫した自慢の逸品をセットで全国の消費者へ届けるという仕組みだ。同サイトの運営者も東北地方出身者であり、自ら「地元」活性化のために同サイトを立ち上げたと言う。

これまで地域振興施策と言えば、政府や自治体によるトップダウンが通例であったが、インターネットやソーシャルメディアの普及により、地元住民、出身者、その他地域の住民とが能動的につながれる環境となった。その結果、地域間の心理的な距離感覚が縮まり、同時に、生活者の「地元」に対する意識に変化が生じ始めているようだ。

今号では、人々の新たな「地元志向」は地域活性化にどのような影響を及ぼしているのかをテーマに、インターネット調査および定性調査を実施することとした。

まず、インターネット調査の対象者は18歳以上69歳以下男女、目標回収1000サンプルとした。また、今回ポイントとなる居住地については、東京駅から30km以内を東京圏と設定し、東京圏居住者を500サンプル、札幌市・仙台市・名古屋市・大阪市・福岡市といった地方都市居住者を250サンプル、それ以外の居住者を250サンプル割り付けた。

(1)対象者の57.4%が「今住んでいる所」を「地元」と認識

はじめに、全対象者に対して「地元と思っている場所」について尋ねてみた(グラフ1)。「今住んでいる所」と回答した人の割合は57.4%と過半数であり、「以前住んでいた所」と回答した人の33.8%を大きく上回った。また、「地元と呼べる所はない」と回答した人の割合は8.8%であり、親の転勤が多かったせいか、何らかの理由で「地元」を特定出来ない層がいることが分かった。

どのような基準で「地元」と判断するかは、個人によって様々である。今住んでいる地域と判断する場合もあれば、出生地や幼少期を過ごした地域と判断する場合もある。今回の調査は、「地元志向」の違いと地域活性化との関連性を検証することが目的であるため、今住んでいる地域を地元と捉えている層を「今が地元派」、以前住んでいた地域を地元と捉えている層を「以前が地元派」として比較することとした。さらに、現在、東京圏居住者、東京圏外居住者の2軸を加え、クロス集計する(以降、「地元と思える場所はない」の回答者は対象外)。

地元意識を持っている場所
(2)「今が地元派」の中でも東京圏外居住者は、最も「地元」への愛着心が強い

まず、対象者に対し、「あなたは『地元』に対する愛着や思い入れが強いほうだと思いますか?」と尋ねてみた(グラフ2)。

「今が地元派」の中でも東京圏外居住者に注目すると、「(愛着心が)強い」と回答した人の割合(「強いほうだと思う」+「やや強いほうだと思う」の合計)が65.5%と全体平均に比べてやや高く、しかも、「強いとは思わない」と回答した人の割合(「強いほうだと思わない」+「あまり強いほうだとは思わない」の合計)は8.9%とやや少ない。つまり、「今が地元派」の中でも東京圏外居住者は、東京一極集中に流されず、何らかの能動的な意志を持って地方に居住している人が多いと予想される。

一方、「今が地元派」の中でも東京圏居住者に注目すると、「(愛着心が)強い」と回答した人の割合が53.1%と全体平均に比べてやや低く、地方からの転入者が多いせいか、比較的、「地元意識」が薄いと考えられる。

あなたは、「地元」に対する愛着や思い入れが強いほうだと思いますか?
(3)「以前が地元派」は、過去に義務教育を受けた地域を「地元」と判断

続いて、「あなたにとって『地元』とはどのような所ですか?」と尋ねてみた(グラフ3)。

まず、「以前が地元派」を見ると、「小中学校時代を過ごした所」「幼少期を過ごした所」「高校生時代を過ごした所」を選択した人の割合が全体平均に比べて高く、とりわけ「小中学校時代を過ごした所」を選択した人の割合が極めて高い。「以前が地元派」は、東京圏・東京圏外居住者を問わず、義務教育を受けた地域を重視して「地元」と判断している。また、「以前が地元派」の中でも東京圏外居住者に注目すると、「生まれた所」を選択した人の割合が74.0%と全体平均に比べて極めて高く、幼少期を過ごした地域のみならず、出生地にも拘っている。

一方、「今が地元派」を見ると、「小中学校時代を過ごした所」「幼少期を過ごした所」「高校生時代を過ごした所」を選択した人の割合は全体平均に比べて少なく、「地元意識」に懐古的な要素があまり含まれていないようだ。グラフ2で明らかなように、「今が地元派」の中でも東京圏外居住者は、とりわけ「地元」に対する愛着心が強いが、その内訳とは、懐古的な執着心ではなく、今の地域を選択した何らかの「拘り」によるものと考えられる。

あなたにとって、「地元」とはどのようなところですか?あてはまるものすべてお答えください。
(4)「以前が地元派」は「地元=ノスタルジアを感じる所」、「今が地元派」は「地元=安堵感を与えてくれる所」と捉えている

「あなたにとって『地元』とは精神的にはどのような所ですか」と尋ねてみた(グラフ4)。

まず、「以前が地元派」を見ると、「懐かしい所」を選択した人の割合が全体平均に比べて極めて高く、「地元=ノスタルジアを感じる所」と捉えている。

一方、「今が地元派」を見ると、「安らげる所」を選択した人の割合が全体平均に比べて相対的に高く、とりわけ東京圏居住者は71.3%と高い。「今が地元派」の中でも東京圏居住者は、ハードな通勤や通学を繰り返しているせいか、「地元=安堵感を与えてくれる場所」と捉えているのかもしれない。

あなたにとって、「地元」は精神的にはどのようなところですか?あてはまるものすべてお答えください。
(5)対象者の45.0%が、「地元」の地域振興施策を認知すらしていない

「あなたの『地元』では、地域を盛り上げるためにどのようなことが行われていますか?」と尋ねてみた(グラフ5)。

対象者の45.0%が、「特に行われていない・知らない」を選択しており、必ずしも地域振興施策がリーチしているとは言い難い。一方で、最も認知率が高い地域振興施策を見ると、「特産品ビジネスの創出」15.3%であり、続いて「歴史的な施設・文化財や自然を活かした観光ビジネス」14.6%、「地域での音楽や食べ物の祭典などのイベントの誘致・開催」14.4%、「地元の核となるような商業施設の建設」14.0%、「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」13.8%となった。認知率の高い地域振興施策を見ると、比較的、地域経済活性化に直結する内容が多い。

あなたの「地元」では、地域を盛り上げるためにどのようなことが行われていますか?あてはまるものすべてお答えください。
(6)「ゆるキャラ」や「ご当地アイドル」を活用した地域振興施策は、地元の内輪で盛り上がる

対象者に各地域振興施策について、「よいと思う」「やや良いと思う」「どちらとも言えない」「あまり良いとは思わない」「良いとは思わない」の5段階評価で尋ねてみた。(以降、「よいと思う」「やや良いと思う」を「良い」評価、「あまり良いとは思わない」「良いとは思わない」を「悪い」評価に集約)。

はじめに、全体での「良い」評価と実施地域での「良い」評価を比較すると、最も差が見られたのは、「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」である(グラフ6)。実施されている地域での評価は76.8%と高いものの、全体での評価は40.1%と低く、実施されている地域と実施されていない地域とで評価が分かれるようだ。つまり、「地元」住民や出身者同士で盛り上がる施策としては有効に機能しているが、その他地域の住民を吸引する施策としてはあまり機能していないと言えるのかもしれない。

一方で、両者の評価であまり差が見られなかったのは、「医療や福祉の優遇策」「教育の優遇策」である。医療と教育は、誰もが当事者意識を持つ分野であり、実施されていない地域でのニーズも高いことが分かる。

地元振興策の評価 全対象者vs.施策が実施されている地域の対象者
(7)「以前が地元派」は、インターネット上で「地元ネタ」を積極的にシェアする

以下、注目すべき地域振興施策に対する評価を検証する。

まず、「インターネットを利用した動画や映像の配信によるPR活動」を見ると、「以前が地元派」は「良い」評価をする人の割合が全体平均に比べてやや高い(グラフ7)。「以前が地元派」にとって懐かしさを感じる「地元ネタ」は、インターネットやソーシャルメディア上で、共有・拡散しやすいのだろうか。恐らく、前述の「そうだ埼玉」も、埼玉県出身者を中心とした「以前が地元派」を中心に盛り上がったと考えられる。

一方、「今が地元派」を見ると、「良い」評価をする人の割合が相対的に少なく、とりわけ東京圏居住者は45.7%と全体平均に比べてやや少ない。「今が地元派」の中でも東京圏居住者は、都市型生活者が多く、比較的情報リテラシーが高いと予想されるため、インターネット上でシェアされることが必ずしも良いことばかりとは捉えていないのかもしれない。

[インターネットを利用した動画や映像の配信によるPR活動]への評価
(8)「以前が地元派」の中でも東京圏外居住者は、「地元」でのイベント開催に積極的

「地域での音楽や食べ物の祭典などのイベントの誘致・開催」を見ると、「以前が地元派」の「良い」評価をする人の割合が相対的に高く、とりわけ東京圏外居住者は67.9%と全体平均に比べてやや高い(グラフ8)。地方から地方への転出入者が多いせいか、地方経済の活性化に関心が高く、「イベントの誘致・開催」を起爆剤のひとつと捉えているのかもしれない。

一方で、「今が地元派」の中でも東京圏居住者に注目すると、「良い」評価をする人が55.1%と全体平均に比べて少なく、東京圏ではイベントの開催が日常茶飯事であり、とりたてて評価に値しないと感じているのだろうか。

[地域での音楽や食べ物の祭典などのイベントの誘致・開催]への評価
(9)「ゆるキャラ」や「ご当地アイドル」への評価は二分

「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」を見ると、どの層においても、「良い」評価が4割前後と半数に至っておらず、さらに、「どちらともいえない」評価は3割強となっている(グラフ9)。恐らく、前述の通り実施されていない地域での評価が低いためと考えられるが、但し、実施されている地域での認知率は高く、「地元」住民や出身者同士が盛り上がる施策としては有効に機能していると思われる。

[ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動]への評価
(10)「以前が地元派」の「ふるさと納税」に対する評価は高い

「ふるさと納税」を見ると、「以前が地元派」の「良い」評価をする人の割合が全体平均に比べてやや高い(グラフ10)。「地元」が東京圏外の人が多いせいか、「ふるさと納税」は地方経済に好影響を与えると感じているようだ。

一方で、「今が地元派」の中でも東京圏居住者に注目すると、「良い」評価をする人が41.7%と全体平均に比べてやや少ない。当然のことながら、「ふるさと納税」自体は東京圏においても実施されているが、都心部になればなるほど寄付に対する「お礼の品」が無い地域が増えてくる。その結果、メリット感が薄いと考えられているのかもしれない。

[ふるさと納税]への評価
(11)対象者の6割以上が、地域振興施策への参加意向を持っている

最後に対象者に対し、地域振興施策への参加状況と今後の参加意向を尋ねてみた(グラフ11、12)。まず、参加状況の全体平均を見ると、「ほとんど参加したことがない」と回答した人の割合は67.2%にも上り、「さまざまな活動に参加してきた」「活動によっては参加してきた」の参加経験者32.9%を大きく上回った。一方で、参加意向の全体平均を見ると、「活動によっては、参加していきたい」と回答した人が61.8%もおり、施策の内容次第で参加率を高めることが出来そうだ。また、「今が地元派」は「以前が地元派」に比べ、相対的に参加率・参加意向率共に高く、とりわけ東京圏外居住者が若干高い傾向にある。今後も「今が地元派」の中でも東京圏外居住者は、地方活性化のキーマンになると思われる。

地域振興施策への参加状況
地域振興施策への参加意向

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新・地元志向、3つのスタイル
(1)「内輪ウケ」地元志向

大都市近郊など、地域に対する帰属意識が高くない地域で、居住者たち同士が共通の「ネタ」を共有することで、あらためて自分の地元に意識を向け、小さな誇りを持つことができるようになる。

「そうだ埼玉」
「そうだ埼玉.com」

http://soudasaitama.com/

「ダサイタマ」という、埼玉県を揶揄する言葉を逆手にとり「そうだ埼玉」のキャッチフレーズのもと、「少し贅沢な深谷ねぎ」や「海に行くだけで旅行になる」など県の特徴や自虐ネタを取り入れた歌詞で県の魅力を発信。PR映像の中の「埼玉ポーズ」が話題となる。

OS☆U
OS☆U

http://osu-idol.com/

東海地区最大級の商店街、大須商店街のご当地アイドル。かなりニッチな地域のご当地アイドルという存在が逆に地元住人の共感を生みブレイク。地域密着型アイドルとして、名古屋・中京圏の自治体や企業・団体とのコラボレーションを中心に活動している。

(2)「巻き込み型」地元志向

地元や地域をテーマとしたイベント・フェスなどを開催することで、周辺の地域も巻き込み、住民だけでなく周辺地域の企業や団体なども巻き込みながら、地元意識を形成していく。

イナズマロックフェス(滋賀)
イナズマロックフェス(滋賀)

http://inazumarock.com/

初代滋賀ふるさと観光大使である、アーティスト・T.M.Revolution 西川貴教さんが、琵琶湖の環境保全と地域振興を掲げ、滋賀県・草津市行政と立ち上げたロックフェス。名称の「イナズマ」は、車のナンバープレートの滋賀の「滋」の文字がイナズマの形状に見え、通称「イナズマナンバー」と呼ばれていることから。会場では、地元高校生が栽培・収穫したお米や、地元の名産が食べられる飲食ブースを出店など、地元活性におおいに貢献している。

まんパク(立川)
まんパク(立川)

http://manpaku.jp/201505/

毎年5月~6月に国営昭和記念公園で行われる「新しい食の祭典」。 2015年で5回目を迎えた。全国各地のご当地グルメや世界のグルメを楽しめるほか、「たまエリア」には地元の人気メニューが並び、まんパクから生まれた立川の地ビール「立川産果実のエール 立川ブルーベリーHAPPY」などもある。

(3)「遠距離型」地元志向

その地域に住んでいない人(以前住んでいた人や、全く関係ないけれどその地域に興味関心のある人等)も、遠距離の状態であっても帰属意識や仲間意識を持つことができるように、ネットなど情報通信も駆使しながらつながりを醸成していく。

FAAVO
FAAVO

https://faavo.jp/

地域・地方に特化したクラウドファンディングのプラットフォーム。故郷出身者が地元地域活性化のために、あるいはその地域には縁がない人が、「地域ファン」として応援するために、支援金を出資できる。

東北食べる通信
東北食べる通信

http://taberu.me/tohoku/

毎月東北各地の生産者にスポットライトを当て、その特集記事が掲載された雑誌と一緒に、彼らが収穫した作物などをセットで届ける「食べもの付き情報誌」という新しいスタイルのメディア。今では東北から、全国各地に「○○食べる通信」として、その活動が広まりつつある。

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地域外からの共感・支援を集め、実際の動きにつなげていきたい

私たちが提供している「地域×クラウドファンディング FAAVO(ファーボ)」は、「地域の『らしさ』を誰もが楽しめる社会をつくるというビジョンのもと運営されている、地域を活性化するために全国各地で立ち上げられるプロジェクトを、全国どこにいてもクラウドファンディングの形で支援することができるプラットフォームです。

2012年6月の立ち上げからこれまでに、42の地域で「FAAVO」が立ち上がっています。県単位の「FAAVO」もありますし、市や町、あるいは「湘南」といった地域の「FAAVO」もあります。それぞれの地域で、窓口となる企業が、地域企業の掘り起こしやプロジェクト企画のアドバイス、クラウドファンディングの運営まで行う、地域密着型のクラウドファンディングであることが、「FAAVO」の特徴です。

「出身地と出身者をつなげる」というのは、FAAVOの大切なコンセプトの一つではありますが、その地域とはなんの関係もない人たちが地域に関心を持ち、支援してくれるケースも、少なからず目にするようになりました。

例えば、「子ども達に豊かな自然を残す!林業再生への挑戦、国産杉の工芸品を世界へ!」というプロジェクトには、県外からの支援が多く集まりました。宮崎県日南市で産出される杉材である「飫肥杉(おびすぎ)」を使った工芸品を、「obisugi-design」の名で、ニューヨークで開催されるギフトショーに出展し、販路を開拓しようというプロジェクトなのですが、¥2,500,000という目標金額に対し、¥3,250,000もの支援が寄せられました。

寄せられた支援のうち、6割が宮崎県外在住者というのもなかなかないことなのですが、さらに支援してくれた県外在住者のうち4割が、宮崎県出身ではなかったことがわかっています。

こうした「地域ファン」とでも呼ぶべき人たちを集め、「地域ファン」に働きかけることのできる「FAAVO」の可能性に着目してくださった地方自治体なども運営に乗り出してくださっています。福井県鯖江市では、市で「FAAVOさばえ」を運営し、「近未来メガネ開発プロジェクト」や「鯖江のシンボル『めがね広告塔』修復」などのプロジェクトを通じて鯖江の魅力を発信し、鯖江のファンをつくると同時に、将来的なU・Iターンにつなげることを狙っています。

イベント開催やショップ立ち上げなど、在住者を対象とした、場所性の強いプロジェクトの場合ですと、なかなか地域外からの支援は集まりにくいですが、商品開発などのプロジェクトですと共感を得やすく、地域外からの支援が集まりやすいようです。

今「FAAVO」には、さまざまな地域の動きに興味・共感を持つ、いわば「地域ファン」とでもいうべきユーザー層が集まってきていると感じます。今後はこうした「地域ファン」に働きかけ、支援を入り口に、その地域を訪ねてみたり、あるいは仕事を得て移住したりといった、実際の動きにつなげていきたいと思っています。(談)

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編集後記

政府や自治体のトップダウンであるにせよ、「地元」住民のボトムアップであるにせよ、今、地域振興施策を盛り上げるためには三つの課題があるようだ。

一つは、いかに「地元意識」の高い住民や出身者をコアメンバーとして機能させるかという点だ。今回、我々が実施したインターネット調査によると、「今が地元派」の中でもとりわけ東京圏外居住者が、最も「地元意識」が高いことが分かった。こうした東京一極集中に流されず、何らかの「拘り」や「誇り」を持って地方に居住し続ける生活者こそ、地方活性化のキーマンであり、彼らの能動的なアクションを誘発する工夫が必要となる。

二つめは、誰もが参加しやすいプラットフォームをいかに構築するかという点だ。FAAVOによる宮崎県日南市の事例を見ても、同市に寄せられた支援のうち6割が県外居住者であり、そのうち4割が同県の出身者以外の生活者であった。つまり、地域特有の課題であるにもかかわらず、「地元」住民や出身者のみならず、その他地域の住民までもが我が事化しているというわけだ。より広い地域の住民にリーチさせるためには、よりオープンなプラットフォームを構築することが不可欠である。

三つめは、秀逸なコンテンツと呼べるほどの地域振興施策を生み出せるかという点だ。『そうだ埼玉』は「自虐ネタ」が盛り込まれたエンターテインメント性の高いコンテンツである。また、FAAVOによる「子ども達に豊かな自然を残す!林業再生への挑戦、国産杉の工芸品を世界へ!」というプロジェクトは、その高い共感性から、県外から多くの支援が集まり、目標金額以上の支援金が寄せられた。さらに、「イナズマロックフェス」には、高校生を始めとした若年層を巻き込めるようなコンセプトの明快さがある。つまり、地域振興施策自体が、秀逸なコンテンツであればあるほど、インターネットやソーシャルメディア上で自走していき、その他地域の住民からのインバウンドを獲得出来るのだ。

今、地方が抱える課題は多様でしかも切実である。その背景には、高齢化や人口減少といった不可避な難題を抱えていることは周知の事実である。であれば、「地元意識」の高い住民や出身者はもちろんのこと、その他地域の住民の「地域ファン」を作り上げることがますます重要となる。また、東京圏居住者のような都市部の住民は、地方で実施される振興施策を他人事とするのではなく、積極的に「地域ファン」になるべく、能動的に情報をウォッチすべきであろう。

NTTアド『先事新聞』編集長 小林勝司
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