調査・研究/発行物

先事新聞 vol.22

今月のkey word 「○○カフェブーム」
「○○カフェブーム」 今月のキーワード

昨今、いろんな機能を持ったカフェがサキゴトとのこと。要するに変り種の喫茶店である。日本では、室町時代に本格的な「茶道」を千利休が完成させ、時の治世者に並走する格好で長らく発展して現代に至っている。江戸時代に入ると、庶民の間でも「水茶屋」といって、給仕役の若い女性従業員を置く喫茶店が流行した。良質な茶を出していたらしいが、なんといっても客の目当ては看板娘たちである。中でも錦絵の鈴木春信が「一枚絵(今で言うブロマイド写真)」を次々と出して伝説的な大スターとなった「笠森お仙」が有名だ。人気者になると、茶汲み等の作業は一切やらずに、店の中に立っているだけでいいという娘もいたらしい。これらの看板娘達は、「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、アキバの劇場で毎日公演をやっている「AKB48」の元祖のような存在かもしれない。人間の心の構造は変わらず、歴史は繰り返す。

時は移り、高度経済成長期には、喫茶店ビジネスが隆盛を遂げた。一口に喫茶店と言っても多種多様だが、強引に大別すれば、「スペース提供型」と「機能特化型」のいずれかにあてはまりそうである。前者は大手の喫茶チェーン店等に代表されるように、純粋にコーヒーや軽食を楽しみながら、一人で過ごす、または友人と語らったり、ビジネス相手と商談したりするための場として活用される。要するに「飲み物と共にスペースを提供する」という点がコアバリューになっている。後者は、時代の経過の中で様々なトレンドが生まれている。「歌声喫茶」「ジャズ喫茶」「マンガ喫茶」等が代表例だ。これは、集団で歌を歌うとか、自宅では無理なほどの大音量でレコードを聴くとか、シリーズ・マンガの読破や昔読んだマンガの再読など、自宅では得られないユニークなバリューを提供する。図式化して言うなら、前者の「スペース提供型」の最新バージョンが、いわゆる「シアトル系コーヒーショップ」であり、そして今回ご紹介するのが、後者の「機能特化型」の最新事例である。

当社のオリジナル調査では、カフェの利用理由は、「リラックスできる(55.3pt)」がダントツであり、前者のカフェをイメージした回答であることが推察される。

グラフ:利用拡大が期待されるカフェ

他方、今後期待されるカフェに関する調査では、右下図表にあるように「機能特化型」のカフェに対するニーズが目立つ。また8位以降はほとんどの層で新たなニーズが激減するのに対して、10代男女だけには、どれもそこそこのニーズが見られた。喜ばしい。機が熟したら、是非行きたいところに行ってみてほしいものだ。

ともあれ、今回の先事新聞も、読者の皆さんがお昼休みのカフェあたりで、心の中で小さく「へぇ~」などとつぶやきながら最後まで読んでいただけたら、スタッフ一同幸甚の至りである。

※NTTアド自主調査(インターネット調査、首都圏15~69歳男女500名、2010年12月10日~13日実施)

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今どきの○○カフェブーム
■再び「カフェ」を求める現代人

近頃「カフェ」の存在感が増している。但し「カフェ」は「カフェ」でも、ただお茶を飲むだけの場所ではなく、百花繚乱、さまざまな個性を放ち、喫茶以上の付加価値を提供する場を指す。単に休憩や軽食をとるだけであれば、ファミリーレストラン等でも事足りるのだが、プラスαの要素を兼ね備えた「○○カフェ」は、現代人の多忙な日常の中で、新たなオアシスとして認識されつつあるようだ。

■自宅と職場と「○○カフェ」。
カフェは、心の穴を埋めてくれる場所

「○○カフェ」は利用者にとって、自宅でも職場でもない「第三の場」として機能している。肩書もしがらみもない新たな人間関係を築いたり、趣味や創作意欲に刺激を与える場となったり、みなそれぞれに有意義な時間を過ごす。利用者が「第三の場」を選ぶうえで最も重視するポイントは、カフェが提供する付加価値、いわゆる「○○」の部分である。「ドッグカフェ」や「手芸カフェ」など、「○○カフェ」の「○○」には、お店のコンセプトや個性、何を共有できるのかなどを明確にしている場合が多い。そういう点では、同じ志向をもった人々が集まりやすく、「空間・時間・仲間」という三拍子が揃った居心地のいい場となっているようだ。恐らく、mixiをはじめ、コミュニティを形成しやすいソーシャルメディアが流行していることも、「○○カフェ」ブームを醸成しているに違いない。「○○カフェ」は、日本人にとって居心地がよい、程よく「クローズドなコミュニティの場」と言えよう。

自分らしさに浸れる時間。マニア系カフェ
センスを共有する!

独自のセンスによる空間づくりも「カフェ」の魅力のひとつだ。オーナーによりセレクトされ、磨き上げられたセンスやコレクション。自分だけのお気に入り「カフェ」を見つけて過ごすひとときは、まさに今どきに求められる「第三の場」としてぴったりのようだ。

モワカフェ(古民家)
下北沢の古い一軒家をカフェにしたもの。レトロな雰囲気の中で、アート展利用もできる。
http://www.renovationplanning.co.jp/mois
シートマニアカフェ(イス)
いろいろなイスの座りごこちを楽しみながら、カフェでお茶ができる。
http://seatmania.jp/home.html
ひねもすのたり(器とcafe)
器を楽しむカフェ。ただデザインを眺めるのではなく、その使いやすさや、手にしっくりとなじむ心地よさをお客さまがじかに体感できる空間。購入も可能。
http://ひねもすのたり.com
シンシアガーデン(オーガニック)
自然の恵みを存分に楽しめるオーガニックカフェ。オーガニックコスメショップやエステも併設する。
http://www.sincere-garden.com
仲間がいるといつもより楽しい。ホビー系カフェ
楽しむ時間を共有する!

たとえば、散歩の途中で犬好きが出会えば会話が弾み、コミュニケーションが生まれる。また、1人で黙々とやるような編み物や読書も、みんなで一緒にやったり、会話も交えれば、楽しさが増す。このようにテーマはさまざまだが、空間の提供だけでなく、同じ嗜好をもった人々が集い、ココロやモノまで共有できる「カフェ」が人を集めている。

猫まるカフェ
猫のいる空間で癒しとくつろぎのひとときを過ごす。
http://www.nekomarucafe.com/
ドッグカフェ.jp
ドッグカフェのポータルサイト。お店の犬と遊んだり、自分の愛犬を連れて行ける店も多い。
http://dogcafe.jp
東京ニットカフェ案内
イベントやワークショップなど、会話とともに手編みを楽しむニットカフェのポータルサイト。
http://knit-cafe-navi.net
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー
ちょっと贅沢な読書空間を提供する会員制図書館。カフェもあり、会員同士の交流も楽しめる。
http://www.academyhills.com
いろいろ試せるってステキ。おためし系カフェ
気楽に立ち寄れる敷居の低さが魅力!

「カフェ」は人を集める不思議なキーワードだ。うしろに「カフェ」とつけるだけで、途端に人をひきつけ、身近な存在になる。企業もこのキーワードをうまく利用している。たとえば「本物の味を消費者に知ってもらいたい」と考える企業は「カフェ」という形態で専門知識や商品を提供している。消費者にとっては新しい味を気軽に試せる場になっている。

だしCafe(味の素)
だしのおいしさを無料で味わえる日本初のカフェ。みそ汁やお吸い物のほかに、無料の塩むすびも提供してくれる。
http://www.ajinomoto.co.jp/kfb/dashi-cafe
100%チョコレートカフェ(明治製菓)
新しいチョコレートのおいしさと愉しさを体験できる、チョコレートのワンダーランド。
http://www.meiji.co.jp/sweets/choco-cafe
フリーカフェ播磨屋ステーション(播磨屋本店)
本格的なコーヒーと紅茶・ほうじ茶の無料サービスとともに、おかき・せんべいをサービス価格で試食できる。
http://www.harimayahonten.co.jp/pc

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「○○」カフェの市場調査

カフェにプラスαの価値を与える要素として、ライブラリーは相性がぴったりだ。そこで今回は、六本木ヒルズの会員制図書館「アカデミーヒルズ六本木ライブラリー」の熊田ふみ子氏に利用者の実態についてお話を伺った。

熊田 ふみ子(くまだ・ふみこ)氏

熊田 ふみ子(くまだ・ふみこ)氏
森ビル株式会社/アカデミーヒルズ事業部
ライブラリー事務局マネージャー

会員制ならではのコミュニティ醸成を仕掛け、メンバーの増加に寄与。六本木での実績をもとに、新設の平河町ライブラリーでは、コンセプトメイキング、商品設計から運営まで、全体を統括している。

85%がビジネスパーソン
森タワー49階のライブラリーカフェ

「85デミーヒルズ六本木ライブラリー」は30代を中心とした、職業をもつ男女約3,000名超が利用する会員制図書館。まさに、職場と家との間の「第三の場」として機能している。利用時間の長さやセレクトされた書籍、書店と変わらぬタイミングで並ぶ新刊本など、有料図書館ならではのサービスはもちろんだが、特徴的なのはメンバー相互の交流の場が非常に充実していることだ。旬の知性をテーマとした「ライブラリートーク」をはじめ、メンバー主宰のサークル活動「メンバーズ・コミュニティ」などは、コミュニケーションを求める利用者からのニーズにより誕生し、多種多様なテーマで開催されている。

ONからOFFへ、カフェの機能

「静寂の中で集中して読書や勉強などができる他のスペースに比べ、カフェは眺めもよく開放感があります。食事やお酒も飲めるので、カフェはONからOFFへの切り替えの場として機能しているようです」(ライブラリー事務局/熊田氏)。集中して勉強や仕事をするならマイライブラリーゾーン、ゆったり本を楽しむならグレートブックスライブラリー、気楽に食事も話もできるカフェ、と気分に合わせてチョイスすれば、いつでも最高の「自分の居場所」が確保できそうだ。

マイライブラリーゾーン グレートブックスライブラリー
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー
朝7時~24時まで、年中無休の会員制図書館。入会金10,500円/月会費9,450円(税込)。入会資格は20歳以上の個人。
http://www.academyhills.com
※このコンテンツはNTTアドの情報紙『先事新聞』第22号(2011年1月発行)からの転載です。
発行時から内容/見解/肩書などに変更のある可能性がございますので予めご了承下さい。
※掲載されている会社名、商品名、サービス名は各社の商標、または登録商標です。

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