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コラム「広報部門、変革の時代」

顧客を呼ぶ求心型企業になるために広報部門が果たすべき使命

弘中 勝(ひろなか まさる) ウィンビット代表
ウィンビット代表。PRマーケティングを研究・指導する。各方面で講演・執筆実績多数。総読者数10万人の人気ビジネスメルマガ「発想源」の著者。著作に「顧客と語らえ!」(現代書林)、「アイデアひらめく『ビジネス発想源』」(技術評論社)。

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■遠心型企業と求心型企業
■求心型企業への変革に広報部門は


■遠心型企業と求心型企業

求心型企業になるために今こそ広報部門の権限拡大と責任の強化を
 企業は大きく「遠心型企業」と「求心型企業」に分けられます。遠心型とは、お客様がなかなか寄ってこないのを何とか一人ずつ追いかけて口説き落とすような企業。対して求心型とは、お客様が自らの判断で寄ってきて購買を切望してくれるような企業のことです。

  これからの時代は求心型企業が生き残ることは明白です。遠ざかっていく人々をいちいち探して追いかけ、話を聞いてもらうためのコストや手間が膨大にかかってしまう遠心型企業は、存続が困難と言えます。

 求心型企業の求心力となるものが、信頼と評判です。そしてその信頼と評判を生み出すものが企業からの情報発信であり、広報力なのです。

 ところが、販売戦略やマーケティング戦略が無駄に高度化している現在では、求心型企業を目指して広報力を強化しながらも、一部の部署が遠心型企業のような取り組みをしてしまい、信頼と評判の蓄積を帳消しにし、求心力を鈍らせるという現象が起こっています。

 例えば、ポストに届いたダイレクトメールの封筒に「○○社からの大切なご案内です。よくお読み下さい」などと書かれていたので、何事かと思って開けてみると単なるセールスだった、ということがよくあります。

 こうした例は、信頼と評判の蓄積を阻む典型的な遠心型の情報発信ですが、目先の利益を重要視する営業部門や販売代理店は、「この方法で一時的に売り上げが伸びた」などとテクニック的に多用するケースが目立ちます。

 広報部門が求心型の情報発信を目指しても、他の部署が遠心型の情報発信をしている限り、企業全体としての求心力は容易に宿らないのです。

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■求心型企業への変革に広報部門は

 今後の広報部門の使命は、単に「独自で情報発信をすること」から、「全社の情報発信を統制すること」になります。特に企業規模が大きくなると、広報部門と営業部門の距離も広がって反発や摩擦も肥大化しますが、それをいかにまとめられるかが広報部門に問われる能力になります。

  あるマーケティング会社では、いわゆる遠心型の営業で業績はある程度伸びましたが、頭打ちになってしまいました。このため、驚くべきことに営業部門を削減して新規営業を一切廃止し、代わりに広報部門を増強して情報発信の強化に取り組みました。その結果、新規の顧客獲得率が1年で3割上昇しました。

  またある中堅メーカーでは、広報部門によるマスメディア向けのプレスリリースと営業部門による顧客向けニュースレターを廃止し、広報部門が管理するウェブサイトからの情報発信に絞りました。結果、メディア掲載率と新規問い合わせが劇的に向上しました。

  遠心型の情報発信やアプローチを徹底的に整理し、広報部門による求心型の情報発信をしたことで効果を上げた例は少なくありません。求心型企業への変革が求められています。

  このような変革は経営層だけの仕事ではなく、広報部門が提案し立案していかなければならないことです。これからの時代の広報部門の使命とは、求心型企業への変革の発火点になることと言えるでしょう。
このコンテンツはNTTアドのPR誌『目黒発』第9号(2007年3月発行)からの転載です。
発行時から内容/見解/肩書などに変更のある可能性がございますので予めご了承下さい。

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