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Chapter2
様々なタイプに派生する「おもてなしコミュニティ」の活動実態

今回の定性調査では、その活動実態や参加者のモチベーションを探るため、以下の4つの“おもてなしコミュニティ”の取材を行い、主催者や参加者に話をお聞きした。有償無償、参加のしやすさ、目的などそれぞれ異なるコミュニティで、違いを見ていただければと思う。

①Huber.「Tomodachi Guide」

特徴
  • 外国人旅行者と国際交流したい日本人のマッチングサービス
  • ガイドは2人組のペアで
  • 有償(サービスを受ける外国人が支払う。3時間7500円~)
  • 訪日外国人がサイトに旅のニーズを登録。それを日本人ガイドがみて、気の合いそうな人にプラン提案を行う
  • マッチングしたらガイドとゲストで旅のプランを相談しながら決めるのでパックツアーでは実現できない、ユニークな体験を提供が可能

Huber代表である紀陸氏に活動の魅力やその強みなどのポイントを伺った。

活動のポイント
“継続しやすい仕組みづくり”
  • 有償にすることで、ボランティア疲れもなく無理なく続けられる
  • 2人組でガイドするので、慣れないガイドも安心して参加できる
  • 日本にいながら、様々な国の人たちと繋がりあえる
  • 外国人が喜ぶコンテンツをみつけられる
    (新たな観光資源の発見)
株式会社Huber. 紀陸氏

サービスの特徴や紀陸氏の話を踏まえると、日本人ガイドのモチベーションは以下のようなものが考えられる。まず、金銭的なインセンティブ。それに加えて、英会話を実践しながら学べること。そして3つ目が、日本にいながら世界中の人と国際交流できる機会が得らえること。この3つ目は一度体験することが非常に重要で、「一度体験するとハマる」(紀陸氏)らしい。外国人の異文化に触れつつ、逆に日本の文化を再認識するプロセスが「最高にたのしい!」そうだ。また、同時に「めちゃめちゃ、くやしい!」体験ともなるらしい。自分の英会話スキル不足、日本文化に対する知識不足。ゲストと仲良くなるからこそ、「もっと上手くできた筈だ」という気持ちになり、正しいモチベーションを持ってガイドたちは成長していく。そしてより良い体験が生まれ、どんどんのめり込んでいく。今後も拡大が期待できそうだ。

②Japan Local Buddy「街頭ボランティア」

特徴
  • 主に渋谷・原宿・大阪・京都などの街頭に立ち、外国人旅行者が困ったときに相談にのってくれるガイドサービス
  • “How can I help you?”のボードが目印
  • 複数人のチームで困りごとに対応
  • 無償

Japan Local Buddyを運営する株式会社ジェイノベーションズ代表の大森氏に、活動の魅力を伺った。

活動のポイント
“参加のハードルの低さ”
  • 日本人の参加のしやすさ。チームで動くため、英語のレベルが高くなくても参加できる
  • 参加の時間の縛りがなく、気軽に参加できる
  • 無償なので、相談に十分に応えられなくても責任が問われにくい
株式会社ジェイノベーションズ 大森氏

こちらのサービス、参加する日本人は無償で参加している(相談する外国人もだが)。ボランティアとして、ひと助けできること、「誰かのためになる」というのが大きなモチベーションになっている。当然、英会話の実践の場であることも重要だ。また、Local Buddyの名が表すように「友だち」的な国際交流ができることも魅力だろう。実際、案内してあげた外国人ファミリーと仲良くなり、海外の彼らの家に招待されたという例もあるそうで、このようなサービス以上の交流につながることも醍醐味だろう。

③Hub Japan「MEET & EAT」

特徴
  • 外国人旅行者と日本人が飲食店で会って、「飲みニケーション」ができるマッチングサービス
  • 無償(今後、予約代行などの有償での一部サービス提供の可能性あり)
  • 最大3名対3名
  • お店は、サービス事業者が用意したリストから選ぶのが基本

「MEET & EAT」運営はアシノオトという企業が行っている。代表の木村氏に活動の魅力を伺った。

活動のポイント
“異文化飲みニケーション”
  • 無償で気軽
  • “食事”という文化コンテンツがあるので、会話がしやすい
  • 日本人も多くて3人なので、英語をしゃべらざるを得ない環境
アシノオト株式会社 木村氏

実際に参加されている日本人と外国人にお話を伺うために、都内の「木曽路」ですき焼きを楽しんでいるところにお邪魔した。写真のとおり、2対2の4名で、日本人の方と外国人の方、双方とも親子とのことだった。日本人の方に参加理由をお聞きすると、やはり英語の学びというものがあったが、加えて、ご自身が海外に行った際にローカルの方にお世話になった経験があり、その恩返しなのだそうだ。単純な国際交流ということではなく、交流を通じてためになることをしてあげる。加えて、木村氏が「異文化飲みニケーション」と呼ぶ、文化的バックグランドの異なるもの同士が食文化を楽しみながら交流できることがこのサービスの最大の特徴だろう。見知らぬ相手と会話をするのは日本人同士でも容易ではないが、間に「食」というコンテンツが入ることでそのハードルを下げていることも強みだろう。

④こえび隊(「瀬戸内国際芸術祭」サポートボランティア)

特徴
  • トリエンナーレ「瀬戸内国際芸術祭」のサポート活動
  • 芸術祭は2016年に開催、次回は2019年
  • 芸術祭の継続的な活動に、1年通して関わる(作品制作のお手伝いや、芸術祭のPR活動、芸術祭期間中の運営、各島での催しのお手伝いなど。公式Webサイトより)
  • 無償

こえび隊に参加されている内海氏(写真左)に話を伺った。

活動のポイント
“アート×地域、島にいながら世界とつながる”
  • 芸術祭という文化コンテンツへの参加
  • 2016年のボランティア1200人弱のうち、約150名が海外からのボランティア
  • 芸術祭を核としたコミュニティにより、来場者のおもてなしだけでなく、外国人と協働する交流も生まれている
こえび隊ボランティア 内海氏(写真左)

これまでご紹介してきたサービスと異なり、日本人参加者のモチベーションは国際交流ではない。彼らは純粋にアートが好きで、芸術や地域文化のよさを共有したり、その一部となることが主なモチベーションだ。国際交流は、彼らが積み上げてきた芸術祭の盛り上がりによって、結果的に生まれてきたものである。彼女自身も外国語の会話スキルが特段優れているわけでないということだが、芸術祭がきっかけで出会った外国の方に、台湾まで会いに行った経験もあるそうだ。アート、文化は言語のかべを超え、人と人をつなげる媒介として高いポテンシャルがあるということだろう。

以上4つの“おもてなしコミュニティ”を俯瞰すると、国際交流コミュニケーションに、何かを掛け合わせたところにコミュニティが生まれると言えるだろう。食やアートなどの文化の共有や、誰かのためになる、恩返しをしたいという気持ち。共感できるコンテンツや気持ちが人と人と結びつけ、コミュニティが生まれ、成長していく。