調査・研究/発行物

先事新聞 vol.21

今月のkey word 「つながるショッピング」
「つながるショッピング」 今月のキーワード

近年のITインフラの進化に呼応して、消費者の間で「新たなつながり志向」のようなものが見られ、それを契機とした「つながるショッピング」がサキゴトのようである。

アマゾンやカカクコムなどで、レビューを参考にしたり、それによって購買に至るようなケースが典型だ。このような行動の根幹にあるのは、消費者の購買意思決定における「推奨効果(人は意思決定の際に、他人の推奨や評価に相応の影響を受ける)」である。

元来ヒトを含む群棲動物は、自衛本能として「アルファな固体(自身の生存に益する同種)に従う」ようプログラムされているらしい。サバンナでライオンに狙われたトムソンガゼルの群がいるとする。勘の良い一頭がその気配を察して急に逃げ出したら、事実確認などせず瞬時に同じ方向に走り出さなければならない。でないとたちまちライオンの餌食だ。我々人間だって、ショッピングサイト上で「稀代の名盤!!絶対買いです!」といった評価を読んだり、「この商品は、本日257名の方にお買い上げいただきました!」など表示されると、「それなら私も・・・」となり易い。それは、我々のDNAにもこのような模倣・従属行動が、自衛本能として強く埋め込まれているからかもしれない。「欲望は他人の欲望を模倣する」といったのはJ・ラカンだったか。

グラフ:購買時に役立つ方法(複数回答)

そして、このようなつながる消費で論点になってくるのは、WEBサイト上の推奨や評判の「信憑性」である。この点は、レビュワーのクオリティー自体がレビューされる仕組みとか、人気ランキングで同一IDからの重複投票を排除するシステムとか、フェアネス確保のための様々な工夫が考案され、今日ではかなりの確からしさを期待することができるようになってきた。ネットオークションの参加者なども、悪い評価を得ると今後の取引に障るため、好評価を得るべくどんどん「いい人化」していく。悪評価を消すためにIDを取り直すと、これまで積み上げた好評価も一緒に捨てなければならないから皆一様に必死である。今やリアルだろうがバーチャルだろうが、人と人とのつながりにおいて最重要なのは「良い評判」かもしれない。

当社のオリジナル調査でも、認知~購買プロセスにおいてそれぞれ重視するメディアを調べたところ、認知と欲求段階ではテレビCMがともに1位(62.7%、37.5%)だが、詳細の確認と購買段階では、比較サイトや投稿サイトが急上昇してくる。

ともあれ、今回の先事新聞も、日頃マーケットを考察する読者の皆さんのビジネス戦略の立案につながることができたとしたら、スタッフ一同幸甚の至りである。

※NTTアド自主調査(郵送調査、全国15~65歳男女5,310名、2009年10月22日~11月2日実施)

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今時のつながるショッピング
■不安な時代の安心なモノとは?

経済産業省の消費者購買動向調査によると、回答者の約9割がネット通販経験者で、3カ月間の利用回数は平均5.7回、利用金額は約51,300円、顧客満足度ではネット通販が1位となっている(「消費者の購買に関するニーズの動向調査」2010.4経済産業省発表)。実際に商品を手に取れない買い物であるにもかかわらず、満足度が高い背景には何があるのか。もちろん、事前に店で商品を確認し、価格の安いネットで購入ということもあるだろうが、一方で、消費者間の口コミ活用も安心して購入を促せるひとつの要因なのかもしれない。

■オイシイ情報は知りたい!伝えたい!

商品やお店を検討する際に、確かに利用者のレビューなどが役に立つ。企業はセールスポイントを訴求するのが当たり前だし、テレビや雑誌もマスメディアだけに公の立場を守っている。そんな中、真実は消費者の口コミの中に潜んでいると考えても不思議ではない。しかも個人の感想とはいえ、複数の利用者が同じようなコメントをしていれば、信憑性も高くなる。迷っていても、口コミの評価が高ければ自分も手に入れたり、行ってみたくなる。実際に口コミをきっかけに購入し、大満足なら今度は誰かにそのコトを伝えたくなるだろう。当然悪い情報でも同じことだ。こうして、次から次へと消費者同士が口コミでつながり、そこに新たな消費が生まれるきっかけをつくっている。

つながるショッピング(1) しらべる
他人の体験を、インプット!

何か欲しいものがあったとき、または、どこか新しいレストランに行こうと思ったときなど、事前にそのスペックやメニュー、利用者の感想などをチェックすることが当たり前になってきた。サイト上に情報は山ほどある。もちろん個人のしかも知らない人から得られる情報はすべて正しいとは限らない。それ故に、自分が信頼できるメディアを見つけて、上手に誰かとつながって活用するのが今どきのスタイルのようだ。

「mixi Check」新登場
すぐにチェックリストにのせて友人に公開できる。
http://mixi.jp/promotion.pl?id=37
Twitter(ツイッター)
140文字以内のコメントをみんなで共有する。
http://twitter.com/
Amazon.co.jp
個人が公開しているレビューやリストを見られる。
http://www.amazon.co.jp/
食べログ
リアルな口コミとランキングで探せるグルメサイト。
http://tabelog.com/
つながるショッピング(2) ためす
自分で体験して、アウトプット!

大きな買い物、いや、たとえ小さな買い物でも、後悔しないためには体験にまさるものはない。もちろん少々手間はかかるが、家電製品や家具など、これまで試すことができなかったものも試せるサービスを提供するショップやメーカーが登場している。そして、感想はサイトを通して口コミする。いいモノならば伝えたいし、悪ければそれも伝えたい。つながることで誰かの役に立つ!それもひとつの快感なのかもしれない。

日本初お試し体験サイト「トラコレ」
平均70%OFFでサービスを体験できる。口コミするとランクアップ。
http://www.tryfeel.jp/
商品お試しサービス「おうちデモ」
カメラなど自宅でじっくり試せるソニーのサービス(無料)。
http://www.sony.jp/showroom/event/demo/
お試し家具レンタル「スタイリクス」
レンタルで始めて、購入するかは後で決められる。
http://www.stylics.com/service/smartplan/
お試し田舎暮らし
茨城県北地域の田舎暮らしを体験できる(有料)。
http://www.greenful.jp/otameshi_inaka/
つながるショッピング(3) トクする
みんなでつながって、トクをする!

最近話題の共同購入型クーポンは、まさにみんなで協力してクーポンを購入し超割引サービスを得るシステム。もちろん利用者自身は協力している感覚はないが、実は同じ志向性をもった誰かとゆるくつながり、メリットを共有している。Twitter、Facebook、mixi、GREEなど、ソーシャルメディアと連携した活用も多くみられ、「こんなチケット出てるけど、誰か一緒にどう?」なんてコミュニケーションも生まれている。

クーポンサイト.jp
共同購入クーポンの情報をまとめて探せるポータルサイト。
http://couponsite.jp/
グルーポン
あらゆる業種のサービスを提供する共同購入型クーポンサイト。
http://www.groupon.jp/
ポンパレ
リクルートの割引チケット購入サイト。
http://ponpare.jp/
一休マーケット
旅館やホテルなど、心に贅沢させるクーポン共同購入サイト。
http://market.ikyu.com/

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「共同購入型クーポン」の市場調査

今、急激に利用者が増えている「共同購入型クーポン」。新市場にも拘らず、提供するサイトは100社以上もある。今回は、現在最大手の「グルーポン・ジャパン株式会社」に伺い、その短期間で急成長を遂げた理由を探ってみた。

瀬戸 恵介(せと・けいすけ)氏

瀬戸 恵介(せと・けいすけ)氏
グルーポン・ジャパン株式会社 代表取締役

外資系営業会社で全国の支店をGMとして統轄。株式会社パクレゼルヴなどを経て、現在はグルーポン・ジャパンの代表取締役として日々奮闘中。

知らなきゃ損する「超割引クーポン」

従来のクーポンとは異なり、事前に購入する代わりに大きな割引率(少なくとも50%以上、中には90%割引も)でサービスを利用できる共同購入型クーポンは、一定の利用者が集まったところで成立するシステム。2008年11月に米国のグルーポン社が始めたサービスで、日本では今年の夏頃から各社の参入や利用者が増加している。

急成長を支える「ソーシャルメディア」
グルーポン ホームページ

「TwitterやFacebookなどの普及も急成長の要因のひとつです。このサービスは1日限定の超割引のため、より早く情報を届けることが重要。しかも、口コミや身近な人からの情報ならば信頼ができるため、我々のようなフラッシュマーケティングとソーシャルメディアとの親和性は高いわけです」(グルーポン・ジャパン/瀬戸氏)。現在の利用者は20代後半~30代の女性が7割を占めるそうで、まさに口コミやオトク情報に敏感な層である。提供するサービスがよければリピートするし、悪ければ酷評される。同社はお店側との連携を密にし、質の高いサービス提供を可能にしている。

グルーポン(GROUPON)
毎日12時~翌12時限定で、最大93%OFFで販売されるプレミアムクーポンの販売サイト。現在、全国の37エリアにて展開中。登録するとクーポン情報が随時メールで配信される。
http://www.groupon.jp/
※このコンテンツはNTTアドの情報紙『先事新聞』第21号(2010年11月発行)からの転載です。
発行時から内容/見解/肩書などに変更のある可能性がございますので予めご了承下さい。
※掲載されている会社名、商品名、サービス名は各社の商標、または登録商標です。

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