調査・研究/発行物

先事新聞 vol.14

「シェアする?」 今月のキーワード
今月のkey word 「シェアする?」
■シェアするしくみ、ただ今、増殖中

おいしいレストランでの注文は、目移りしてなかなか決められないものだ。そんなとき、家族や友人と一緒なら、色々な料理をオーダーして、みんなで少しずつ食べられて嬉しい。「ねぇ、これシェアする?」である。
このような親しい人同士でのシェアなら、昔から様々なジャンルで行われている。例えば、兄弟でひとつの子供部屋をシェアし、姉妹や母娘の間で洋服やアクセサリーをシェアする。また、夕食前にダイニング・テーブルで宿題をしている子供は、テーブルを「タイム・シェアリング」していると見ることもできる。

しかし昨今は、「見知らぬ人同士で」何かを共有するという、「新しいシェア」が先事のようだ。その理由はいくつか考えられる。

「大量購買→大量廃棄」に反対する「mottainai」思想の表れかもしれないし、欲しいものを買って専有できるほどの経済的余裕が無くなったという、身も蓋もない事情もあるかもしれない。また、料理のシェア同様、沢山の種類の高価なものをつまみ食いしたいという気持ちもあるだろう。

こうなると、どうしてもコレクションしたいモノでない限りは、必要なときだけ自分の手元にあればいいと割り切って「誰かとシェアしよう」ということになる。ポイントは「ひとり占めしない」というところなので、共有のチャンスの最大化を考えれば、身近な知人同士に閉じるより、できるだけ多くの人に開いていたほうが得策だ。そしてITネットワークがこれを支える。

当社の行ったシェアリングに関する意識調査*では、シェアリング意向者は全体で37.3%にも及んでおり、この辺りの事情を窺わせてくれる。特に、20代男性が48.0%と高く、「CD・DVD」「ゲーム」「食事」「家電」「衣類」等幅広いジャンルで高い反応を示している。また、意向理由についても前述の推察を裏付けており、特に20代男性で「モノの価値を他の人と共有できる」で目立ち、女性では「いろいろなモノを利用したい」が高かった。

「シェアリング」の意向理由のグラフ

ともあれ、今回の先事新聞はこんな時勢に鑑み、我々があちこちから集めてきた「新しいシェア」に関する諸情報を、読者のみなさんと大いにシェアしてみたいのだ。

* NTTアド自主調査(インターネット調査、首都圏在住20~59男女400名、2009年5月22日~25日実施)

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シェアすることは買うよりステキ!?

今どきの借りモノ事情


■何でも借りられる時代がやってきた…らしい。

最近、借りモノ市場が賑わっている。たとえば、話題のカーシェアリングは、2009年1月の調査によると車両ステーション数では1年前よりも2割増えて357カ所に、会員数では倍増しているそうだ (交通エコロジー・モビリティ財団調べ)。以前から、図書館、レンタカー、DVD、貸衣装など、暮らしの中で便利に借りてすませるものはいろいろあるが、今は「それは借りるものか?」というものまで借りられるシステムができている。たとえば(これは簡単に人々が交流できるネットワーク社会の恩恵の一つでもあるのだが)消費者同士が直接物々交換できるサイトなどもたくさん登場しているのだ。そこで、今回の先事新聞では今どきの借りモノ事情について調べてみることにした。

■レンタルするか、シェアするか?

調べてみると、借りるという概念もちょっと変わってきている。まず、昔ながらのスタイルは企業が利用者に対して有料でモノを貸し出す「レンタル」が一般的。無料ではあるが自治体が提供する図書館もこの部類だ。一方、最近流行っているのは「シェアする」スタイル。これはモノや手段などをみんなで共有するもので、消費者同士が直接やり取りすることが多い。このしくみでは参加者のだれもが親(貸す側)にも子(借りる側)にもなるため、対企業のしくみでは存在しなかった「何か」が生み出される可能性が高いようだ。

■ただ、モノが欲しいわけじゃない。

では「何か」って、なにか?ーたとえば、物々交換サイトならば、相手との交渉がうまくいけば「使わなくなったモノ」を欲しいモノと無料で交換できる。そこで重要になるのはコミュニケーション。相手のことを気遣ったり、遠慮したり、駆け引きしたり…。ここに、近年希薄になりつつある「人との関わり」が生まれるのだ。また別の角度から見ると「地球にやさしい」「ムダにしない」「人の役に立つ」行動でもあるため、ある種の満足感も得られそうだ。

この借りモノブーム、スタートは単なる便利なサービスだったかもしれない。しかしながら、ここで生まれる思わぬ副産物は、渇いた現代人の失われた「何か」を満たす役割を果たしてくれるのかも!?


モノも増えずに一石二鳥 エコ系
お金のかからない物々交換サイト

「もったいない」「エコロジー」「節約したい」「ムダにしたくない」など、そんな精神を持った多くの人々に支持されているのが「物々交換サイト」。自分の使わなくなった物を誰かが使ってくれる。そのうえ自分の欲しい物もタダで手に入る。これからの循環型社会の先駆けとなりそうなシステムである。


家具から布団まで生活道具レンタルサイト

短期間なら買うよりお得。不要になっても捨てたくない。そんなニーズに応えて、家具や電化製品はもちろん、昔は貸してくれなかったような生活道具一式まとめて貸してくれるサービスも登場。欧米では一般的な家具付き賃貸住宅などもでてきている。


シェアモ http://www.shmo.jp/ (なんでもOK)

WAWAWA http://www.wawawa.jp/ (なんでもOK)

モノチェン http://webr.jp/ (なんでもOK)

mama market http://www.mamamarket.jp/top.php (子供用品)

Fazoo http://www.fazoo.jp/ (ファッション)

かして!どっとこむ http://www.kasite.com/ (家具・家電)

RE・RENT http://www.eventrental.co.jp/ (新生活セットなど)



新しい形の仲間さがし コミュニケーション系
ネットでヒッチハイク! 相乗り自家用車サイト

ライドシェア(車の相乗り)で目的地まで「楽しく」「格安に」行けるサイト『のってこ!』は、昨年のガソリン値上がりも手伝って、現在会員数は約5,000人に。行き先と出発日で自動的にマッチング。本人確認や口コミ評価情報もあり、初めてでも安心して利用できる。コストメリットもあるが、たとえば音楽イベントやスキー場までの道のりを一緒に盛り上がる仲間さがしの側面はかなり強い。


読むだけじゃ物足りない! 本の物々交換サイト

読み終わったらサイトにアップし、読みたい本を探して交換する。古本屋もオークションもある中で、無料で交換するシステムが成り立つ理由は利用者間に生まれる本を通してのコミュニケーションにありそうだ。自分の感動を誰かと共有したい、共通の話ができる誰かとつながりたいニーズを満たしてくれるのかも!?


のってこ! http://notteco.jp/ (ライドシェア)

タクトモ http://www.takutomo.com/ (タクシー割勘)

Bibuly http://www.bibuly.com/ (本、DVD、ゲーム)

あるかも~ね http://124.40.1.30/top.php (本)



オンデマンドな 贅沢系
おいしいとこ取り 高級ブランドバッグ

「特別な日に」「ちょっとお試し」の場合は1週間2,800円~。「パーティから普段使いまで毎日使いたい!」なら1ヶ月交換自由で1万円程度~。手頃な価格で、あこがれの高級ブランドバッグをとっ替えひっ替え。そんな女の子のわがままなニーズをがっちりつかんで、ブランドバッグレンタルが流行っている。


別荘からジェット機まで 夢を買わずに、借りちゃう!?

自動車や自転車、家財道具、オフィスなど借りられるモノの種類は増えているが、とはいえ今は生活必需品が主流。シェアするしくみがもっと発展すれば、将来は夢のような商品(ボンドカーやプライベートジェット)だってお小遣い程度でシェアできる可能性もありそう。


ORB http://www.orb-s.com/top (ブランドバッグ)

シェアリング・インベストメント http://www.sharing-i.com/top.html (車、オフィスなど)

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物々交換サイトの実態調査

物々交換サイトの実態を調べるために『シェアモ』を運営する株式会社エニグモのエグゼクティブプロデューサー・飯田氏にお話を伺った。

飯田純房(いいだ・すみふさ)氏
飯田純房(いいだ・すみふさ)氏
株式会社エニグモ ポータル事業本部 エグゼクティブプロデューサー

女性向けブログサイトやファッションSNSサイトの立ち上げ、運営に携わる。現在は『シェアモ』『バイマ』のサイト全般のプロデュースを行っている。

■「人の善意」で成り立っているしくみ

2008年1月にスタートした『シェアモ』の会員数は現在20~30代の女性を中心に2万2,000人、毎月1万5,000点にものぼるさまざまな品物がシェアされている。「“気持ちよく誰かに使ってもらいたい”“役立つならうれしい”そんな利用者がほとんどです。基本的には善意で成り立っているサイトだと思います」(飯田氏)。それゆえに利用者間のトラブルなども少なく、見ず知らずの他人同士にも拘らず、心の通ったコミュニケーションが生まれているようだ。


『シェアモ』のしくみ

使わないモノを『シェアモ』に登録し、欲しい人が現れたら着払いで配送。使用期限がきたら次の人へ。欲しい人がいる限り、モノが日本中を駆け巡る。気に入ったら引き取ることも可能。利用者間で感想も共有できる。

■コミュニケーションを求めている

「シェアモを通して人がつながるってステキ!」(30代女性利用者)など、利用者の多くは単なるエコや節約以上の「何か」をこのしくみに見いだしているようだ。自分の出品したモノが日本中を旅していく様子を眺めたり、感想を共有できたり、感謝されたり。利用するだけで砂漠の緑化にも貢献できたりする。最近では、みんなが中身をちょっとずつ入れ替えながら回していく「福袋」なるモノが出品されたり、参加者自身がこの場を利用してエンターテインメントのような楽しさを生み出している。

※このコンテンツはNTTアドの情報紙『先事新聞』第14号(2009年6月発行)からの転載です。
 発行時から内容/見解/肩書などに変更のある可能性がございますので予めご了承下さい。
※掲載されている会社名、商品名、サービス名は各社の商標、または登録商標です。

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