調査・研究/発行物

目黒発 vol.20

SPECIAL REPORT
どう読む!?2009年の企業広報
[特別鼎談:各界のプロフェッショナルが広報を語る]

COLUMN
「かたちのないもの」を広報する 第2回
継続的に情報発信できるような切り口を考える

AD LETTER
次世代マーケティング研究レポート4
見えないものが見えてくる。
企業の雰囲気やイメージが与える影響を可視化するマーケティングとは

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広がる、「広報力」の企業間格差

SPECIAL REPORT

どう読む!? 2009年の企業広報
特別鼎談:各界のプロフェッショナルが広報を語る
2008年は相次ぐ企業不祥事が発覚した上、 世界的な金融危機によって企業活動に多大な影響も生じた。
企業そのものへの信頼が揺らぐ中、 改めて企業と社会をつなぐ広報の力が試されている。 その責任と役割が増していくこれからの時代に求められる企業広報とは何か、 そのために必要な資質や組織体制はどういうものか。 今号は、2009年新春号および通巻20号という記念にあたり、 広報に精通した3人の識者による鼎談を通して、 これからの企業広報のあるべき姿を探っていく。
鼎談

■「ふたつの時差」への警戒心を。ますます強まる、説明責任と情報開示

辻広雅文氏
辻広 雅文(つじひろ まさふみ)

株式会社ダイヤモンド社取締役、
金融情報局 局長兼論説委員
1958年生まれ。81年、慶應義塾大学法学部卒。同年、株式会社ダイヤモンド社入社。2001年4月から04年3月まで「週刊ダイヤモンド」編集長。07年6月より取締役、金融情報局長。08年6月よりコンテンツ室長兼務。主な著書に『ドキュメント住専崩壊』(共著)。

――昨今の世界的な金融危機などを受け、これからの企業活動や広報にどう影響が出てくると感じていますか。
辻広 こういった経営環境が厳しい局面では、業績の悪化はやむをえないし、思わぬリスクの発生で財務が悪化する可能性もあります。それらの原因、波及経路、影響度などをメディアや株主に正確に説明しなければいけない。その対処策としてのリストラや事業再編などの経営戦略も的確に説明できる能力が、広報に求められる時代になると思います。
杉浦 企業は、諸外国との「ふたつの時差」への対応が必要になると思います。ひとつは、経済のグローバル化により、夜にも物事が動くということ。朝になると風景が一変して、今まで健全だった企業が破綻したり、M&Aや出資提携が決まったりという変化のスピードに付いていけるか。もうひとつは、押し寄せている危機の津波の時差。今後、震源地が日本になる可能性もあり、広報が大きな意味を持つ1年になるという気がします。
北原 社会全体が暗いと、利用者からのクレームが陰湿化するなど、広報にとって新たな問題が起こる傾向があります。経済が順調な頃にはなかった新たな危機へ対応していく時代になっています。

――モンスター・コンシューマといった言葉も生まれていますが、企業と消費者の関係が大きく変わってきていますね。
杉浦 消費者がエンドユーザとして、商品の宣伝でなく、安心と安全について具体的な情報をいち早く出すことに期待する傾向が非常に強くなってきていると思います。


■今こそ、広報センスを持った経営者が求められている

――広報と経営のあり方や、企業トップに求められる資質にも変化があるのでしょうか。
北原 CSRが注目されていることからも分かるように、広報機能がいかに重要かを理解している経営者でなければ生き残れません。企業評価の軸は売上や利益といった“強い企業”から、“良い企業”へ移行しています。社会貢献を含めたトータル的な企業活動で評価されるのですから、経営者には広報センスが不可欠です。センスや資質のない経営者には、ある意味“親父教育”のようなものを実践すべきでしょう。
――具体的な教育方法はありますか。
北原 週に一度は社長と広報でミーティングを開き、企業活動の好事例があれば伝えるなど、自社の広報の理想像を求めていくべきです。たとえ何も話題がなくても定期的に会う仕組み作りを広報が率先して行うべきです。
――北原さんが在籍されていた当時の花王では、新たな事業領域として「食品」が加わりましたが、企業広報という点ではどのような変化があったのですか。
北原 トイレタリー事業と飲料・食品事業では商品リスクの度合いが段違いです。飲食物は、命に関わりますから、事故が起こる前の広報に対する準備ということでは、全社を挙げて必死に他の食品メーカーや飲料メーカーのベンチマークを研究しました。トラブルがあったら保健所と連携する、トップ自らが会見する、担当役員は全員メディアトレーニングをするなど徹底しました。広報には、“未然に防ぐ広報”、“起こってしまった後の広報”という二面性があります。事故が起こってしまったら、トップが率先して出ていかないとマスコミも消費者も納得しない、ということを花王の経営層は理解していました。


■完璧な回答より、毎日伝える。誠意が危機回避につながる

北原正敏氏
北原 正敏(きたはら まさとし)

法政大学大学院教授
1943年生まれ。67年、花王石鹸株式会社(現花王株式会社)入社。92年人事部長、96年取締役人事統括、2001年取締役広報統括兼消費者交流部門統括、02年執行役員、03年花王退社。04年4月法政大学大学院・政策科学研究科専任教授、08年4月同大学院・政策創造研究科教授。

杉浦 事故が起きた場合に、“全容を解明してからお伝えしようと思っていた…”という対応遅れのケースが目立ちますが、具体的な情報をいち早く呈示することが最優先です。「こういう事故が起きているので注意してください」と呼びかけること。“分からない”というと、マスコミからは厳しく追及されますが、真っ先に注意を呼びかけることが消費者から評価されると思います。私が言うのも何ですが、マスコミと消費者の反応は分けて考えた方がいい場合もあります(笑)。
辻広 おっしゃる通りで、「全容が分からないうちに会見に出て、吊るし上げられるのはイヤだ」とトップがごねて、対応を間違うケースが目立ちます。トップに拒否されたら、広報は動きようがない。社内も非協力的になって、次のアクションも起こせず、原因究明調査まで後手になってしまう。昨今の食品偽装や不祥事にしても、初期対応がまずくて傷口が拡大しているケースが多いです。
北原 マスコミも消費者も、会社をつぶそうとしているわけではないのです。誠意が感じられないから、“何か隠しているのでは?”と疑念を持たれるのです。企業の記者会見は、完璧な回答を示すより、“これがいま話せる全てです”と毎日のように報告していくことが危機回避になります。


■多様な時代だからこそ、メディア側との人間関係作りが重要

辻広 広報に指示すればメディアの記事を止められると誤解している経営者が、まだいますね。一方で、取材のための依頼書を要求する広報も増えてきている。企業とメディアの距離は広がっているのかもしれない。かつては、強い信頼関係が記者と広報の間にありました。例えば、お互いの上司にも知らせないまま取材をする、させるという関係です。
杉浦 私が経験した事例ですが、取材して裏を取って、広報担当者から“そうだ”とコンファームを得て記事を書いたら、掲載された朝に「なぜ、こんな記事を書いたんだ、事実無根だ!」と、その広報から怒りの電話が来たのです。あまりに一方的にまくし立てるので変だなと思って「ひょっとして上司が目の前にいる?」と聞いたら、「そうに決まっているじゃないですか!」と怒鳴り続けている。「この会話に付き合えばいいの?」というと、「だから、そうですよ!!」と返ってくる(笑)。5~6分も怒鳴り散らして、最後に「厳重に抗議します!」と電話を切られました。その広報からは昼頃に「すいませんでしたね」と連絡がありました(笑)。もちろん記事に間違いはありません。こんな芝居のできる広報は少なくなったのではないでしょうか。


■聞く耳を持ち、他社に学ぶ姿勢を。今こそ広報に「公聴」の精神を

松浦信之氏
杉浦 信之(すぎうら のぶゆき)

朝日新聞社 編集局 産業・金融エディター
1958年生まれ。宮城県出身。早稲田大学卒業、81年に朝日新聞社に入社。経済部次長などを経て、2006年4月、編集局生活部長(同年12月の組織改編で生活エディター)に。07年9月、産業・金融グループのエディターに就任。

――それでは、現代における「良い広報パーソン」に求められるもの、そして、その育成に必要なものは何でしょうか。
辻広 やはり、社内の情報を持っていることです。それを自社の現状や経営者の考え方と関連付けて説明できる、つまり、自分で“だからこういうことが起こっている”と把握している人です。そういう人材を育てるには、社内における広報の地位を高めるとともに、広報に情報が流れる仕組みを作ることが必要です。簡単にいえば、経営会議に同席させればいい。能力・センスのある人に場とポジションを与える。一方で、会社全体で広報力を身に付けたいのなら、将来の社長候補を日頃からメディアに引き合わせて、鍛えておくべきだと思います。
杉浦 世の中の一般的な感覚をフィードバックできることも必要です。自社が頑張っていても「世の中はそう見てない」と把握でき、トップに指摘した上で新たなアクションを起こせる。その意味で、“親父教育”も必要ですが、本当の“オヤジ”になってからでは遅いでしょう。50代後半~60代に変われといっても難しい。それ以前に、経営者にとって広報マインドは不可欠だと全社的に理解させる必要があります。
北原 広報担当は極力取材に応じ、自社の社名ができるだけ多く載ることを目標にすべきです。もちろんポジティブな内容に限っての話ですが…。取材を断ればマスコミは同業他社へ依頼して、結果的に「花王」ではなく、他社の名前が記事に載ってしまう。たとえ自社に直接メリットがない取材でも受けるべきです。さらに、記事の読み合わせや広報委員会などを利用して、情報に対する思い入れを強めていく。それから、情報発信と同じように、外部へ目と耳を傾ける公聴の能力が大切だと思います。
杉浦 他業種・他業界に学ぶ姿勢は欠かせないと思います。ある金融機関が総会屋の事件を起こした際、同じような問題を経験した流通業の広報部へ対応策を習いにいったというケースを見たことがあります。会社存続の危機になってはじめて目が覚めたのでしょうが、途中から広報の対応が一変しました。


■2009年、荒波を乗り切るために、戦略的な企業広報を

ヘルシア緑茶
ヘルシア緑茶をはじめとする一連の「ヘルシア」商品群は、「高濃度茶カテキン」の脂肪燃焼効果などから「特定保健用食品」、いわゆる「特保」の表示が認められている。
記者会見
ヘルシアシリーズの新製品「ヘルシアウォーター」の記者発表の模様。技術広報からはじめた広報活動は、最終的に社長自らの商品発表という形で結実する。

――最後に、2009年の企業広報は、どうあるべきか、おひとりずつ見解をお聞かせください。NTTグループへの提言も是非お願いいたします。
杉浦 最近は、企業がニュース性を背伸びして見せようとしている印象があります。どの業界もニュースリリースが溢れていますが、新聞各社は、昔からリリースに基づく記事を羅列しているわけではありません。多くのリリースは消えていきます。ネットでニュースが瞬時に流れる時代になり、新聞各社は、同じ発表情報であっても、付加情報や分析を加え、新聞を選ぶ際のインセンティブを記事に出そうとしたり、それぞれ角度の付いた分析を加えたりして、生き残ろうとしているのです。一方で、企業自身も、リリースをネット上に流すようになって、新聞の読者に直接届くようになってきています。そうしたなかで、新聞などのメディアが、企業を取り上げるのは、リリース以上に付加価値のある情報を発信できるかどうかにかかっていると思います。企業からすれば、付加価値のある情報を効果的に出すことに精力を費やすべきだと思います。NTTグループについていえば、業界のリーダー企業であるという自負を持って、すべてをオープンに話すことを重視すべきではないかと思います。
辻広 規制されていた産業と、熾烈な競争をしてきた業界とでは大きな違いがあります。コンシューマに目を向ける会社と規制当局に目を向ける会社では、広報のあり方が異なります。NTTグループの広報は視野は切り替わりましたが、コンシューマーに十分に目を向けているか、そこを自問したほうがいいのではないでしょうか。
北原 花王にいた時には、ある程度戦略的な広報を展開していました。たとえば新しい酵素が見つかり学会発表された段階でその事実をリリースします。すると、まだ商品化計画は発表できる段階ではありませんが、各紙の科学欄に取り上げてもらえます。「ヘルシア緑茶」の時も特保(厚生省認可の特定保健用食品)を取得したことだけをリリースします。するとこれは産業欄、社会欄に取り上げてもらえ、関連取材も増え”ヘルシア緑茶”への社会の関心が高まります。新製品の発表会はメーカーにとって、研究・商品化・生産・販売に関わった者の集大成ですから、トップ自らが社を代表して説明します。発売後も、消費者から寄せられたご意見を編集しておけば、今度は家庭欄などで紹介され、その商品への認知度が高まります。決して情報の小出しをするということではなく、新素材発見から発売まで、そして発売後の市場の反応までをストーリー化して、タイミング良くマスコミに提供します。そのたびに「花王」の文字がメディアに載ることになるのです。これからの広報活動は良い商品を核にして企業価値をより高めるような戦略的広報が必要と思います。
――皆さん、本日はありがとうございました。

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COLUMN
「かたちのないもの」を広報する 第2回
継続的に情報発信できるような切り口を考える

サービスや金融・保険商品など「無形商品」の広報は難しい。 「かたちのないもの」に対するイメージを持ってもらい、興味を持ってもらう。 「無形商品」の広報を考えるシリーズ。第2回は、継続的な情報発信について考えます。

石川慶子氏

石川 慶子(いしかわ けいこ)
広報コンサルタント。有限会社シン代表。映画製作会社、PR会社を経て独立。企業広報支援の他、自治体や学校にも メディアトレーニングなどのサービスを提供。

■プレスリリースを一定期間、計画的に投下する

パソコンや携帯電話であれば定期的な新機種発表があるため、リリースも必然的に出てくるのですが、サービスの場合にはそうそうニュースがないから困ってしまいます。こうなると記事露出はあきらめて、広告だけに頼ってしまいがちです。ニュース素材捻出の知恵を絞りましょう。パブリシティとしての露出は波及力や残存力が強いからです。記事というのは「歴史的事実」として永遠に報道機関のデータベースに残ります。ある意味、自分達が歴史の中で生きた証を作ることになると考えてみると俄然やる気もわいてくるのではないでしょうか。

数年前に手がけたポイント発行サービス会社のケースを紹介しましょう。「この半年で勝敗が決まる。予算があまりない。ネタがない。」という悪条件下でした。そこで情報発信のために3つの方針を立てました。1.加盟社や個人会員数が一定数値に達する度にプレスリリースする。2.ある程度名の知れた企業が加盟した場合には、記念キャンペーン告知を含めた内容でプレスリリースする。3.一定期間は毎週プレスリリースを行う。

一つ一つのネタは小さくて取るに足らないもので、ほとんど記事になるほどの価値はなかったのですが、記者達には、「この会社どんどん加盟社を増やしているし、会員数も急速に伸びていて成長力があるな」と思わせることに成功しました。この結果、ストレートニュースはネット系ニュース媒体で掲載され、新聞や専門雑誌、女性誌からは特集時に取材の申し込みが来るようになりました。


■過去のものでもニュースレターとして提供は可能

イラスト

ネットイベントの場合も、プレスリリースは1回で終わらせません。半年ほど前から計画を立て、大抵4回は情報発信をするようにしています。情報を一度に出さず、小出しにすることで期待感を高め、当日一挙にアクセスが来ることを目標にしていたからです。1回目は簡単な予告、2回目は詳細内容の紹介、3回目は直前に追加情報、4回目は終了直後に速報としてアクセス数の報告や感動の声、うまくいかなかった場合には問題発生の理由や謝罪などを入れて収束させます。このように1つのネタでも切り口を変えることで情報発信を複数回行うことが可能となり、情報のインパクトを強めることができます。

プレスリリースがどうしてもない場合には、ニュースレターという方法もあります。葬儀コンサルティング会社の場合には、定期的に出せそうなニュース素材がありませんでした。そこで、その会社で実施した調査結果と、そこから読み取れる人々の意識変化などの社会的動向について分析コメントを加えた読み物風な形態にした「葬祭通信」を作り、毎月メディアに配信する方針を立てました。社会的イメージと実態とのギャップを数字で示すことで記者の問題意識を喚起して、取材への意欲を高めようという狙いからです。

広報担当者は情報発信のプロでもあるわけですから、さまざまな切り口を考え情報を送り続けることで歴史を刻みましょう。

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見えないものが見えてくる。
企業の雰囲気やイメージが与える影響を可視化するマーケティングとは
NTTアド コミュニケーションプランニング局長 中山順文

明けましておめでとうございます。昨年は、食の安全や株の暴落等、暗い話題がありましたが、今年は明るい話題の多い年になってほしいものです。

さて、新年はじめてのレポートですが、題名の「見えないものが見えてくる」ということで何を想像されたでしょうか? 「冬の怪談噺?」、「霊感の話?」などと思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。それはそれで面白いのですが、ここでは、あくまでもマーケティングに関するお話をさせて頂きます。

■購買を判断するには、目に見えないものが重要

光では可視領域、音では可聴領域というものがあります。意味は、人間に見えている・聞こえている帯域ということですが、光でいうと赤外線や紫外線といった目には見えないものが人間の体にとって重要であったり、害を及ぼすことがあります。音でもフルオーケストラの生の演奏を聴いたときに感じるものと、CDで聴いたもの(アナログとデジタルの音)に差を感じる方は多いと思います。また、日常生活の中において「雰囲気」で選ぶということがありませんか? 「雰囲気」とは一体何でしょうか? 「あのレストランは雰囲気が良いから…」などとよく言ったりするものです。「雰囲気」とは、広辞苑によると『その場面、またはそこにいる人たちの間にある一般的な気分・空気。周囲にある、或る感じ』と解説されています。しかし気分や空気、感じは目に見えませんが、人間にとって非常に重要なファクターです。

企業のイメージやブランドにも同じことが言えるのではないでしょうか。単に商品の機能・性能だけで購買するのではなく、その企業やブランドが醸し出している「雰囲気」がイメージを形成し、それによって購買に結びついているということが、私たちの生活でもよくあります。

我々マーケッターは、競合比較を行う際に、機能・性能の差別化とか、ターゲット分析、イメージ分析を行いますが、それはそれで重要な基礎データです。でも、果たしてそれだけで本当によいのでしょうか? 商品がコモディティ化する中では、それに+αの要素が必要です。つまり顧客がその商品に対してどのような見方をしているかという点です。


■自分と他者(顧客)との認識のズレこそが課題

得てして消費者は、企業の思惑通りに見てはくれません。それを修正していくためにも、見られ方(イメージ)に関する方向性づくりが必要です。つまり、競合他社といかに違うかという視点から、顧客にいかに見られているかという視点への変換が重要ということです。

そこで、ひとつの考え方を紹介したいと思います。心理学者ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが提唱した『ジョハリの窓』です。『ジョハリの窓』とは、コミュニケーションにおいて、自分をどのように公開し、隠蔽するか、コミュニケーションにおける自己の公開とコミュニケーションの円滑な進め方を考えるために提案されたモデルです。下の図は分析の方向を示したものです。「自分に分かっているか、いないか」、「他人に分かっているか、いないか」の4象限に分類されています。


ジョハリの窓

中でも、通常イメージギャップを生じているのは、「秘密の窓」、「盲点の窓」の2つの象限であり、そこに課題を見つけ解消することが、マーケティング活動のポイントです。

■マーケティングは、見えないものを「見える化」する

最近、「見える化」という言葉をよく耳にします。企業の抱えている課題、おかれている状況、顧客、社内情報、そして経営状況などを「見える化」するということだと思います。また、サービス業の内容(例えば、保険サービスなどの目に見えない無形商品)を、顧客にいかに理解させるかということで使われる場合もあります。マーケティング活動においては、このように目に見えないものが与える影響を把握し、課題を見つけ、顧客に対していかに可視化することができるかが「見える化」と言えるのではないでしょうか。

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広がる、「広報力」の企業間格差
Text by 編集部

ある有名企業の社長が受講したメディアトレーニング※の報告書が手元にある。

それによると、この社長は服装が「エグゼクティブを感じさせないドブネズミ・ルック」であり、話す内容も「発信すべき企業メッセージが構築されておらず、何を伝えたいのか不明」、「原稿ばかり見て、伝える気迫が感じられない」、「話し方が単調。聞いていて眠くなる」といった厳しい評価と指摘が記載されている。

今号の特別鼎談では、企業トップが広報マインドを持つことの重要性と、それに伴うトップへの広報教育の必要性が、企業広報戦略に不可欠な要素として挙げられた。

広報教育の1つ、経営者のメディアトレーニング受講は大手有名企業では既に常識となっている。それだけではない。広報部員や管理職全員に受講させる企業も珍しくない。ある世界的コンピュータ企業は部長以上の全員がトレーニングを受け、記者対応の基本から学ぶ。また、大手化学メーカーでは、工場の従業員が「危機発生時の記者の動き」を学び、現場が対処すべき実践的な危機管理広報をも習得する。

広報/PRの企業間格差ともいうべき状況が広がっているとされる。広報意識の優れた勝ち組企業と、課題が山積した“広報負け組企業”では当然、大きな差が生じる。不祥事の際に露呈する広報対応の巧拙がその一例だ。2009年も「広報力」が企業の命運を分けるといっても過言ではないだろう。


※メディアトレーニングとは、トップなどスポークスパーソンのための記者インタビュー対応訓練のこと。スポークスパーソンの弱点に応じて、記者会見や1対1の取材、社会部や経済部、テレビ取材など、様々な設定がある。メディアの取材方法や思考法を体感し、企業メッセージの伝え方を学ぶトレーニングである。


このコンテンツはNTTアドのPR誌『目黒発』第20号(2009年1月発行)からの転載です。
発行時から内容/見解/肩書などに変更のある可能性がございますので予めご了承下さい。

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