調査・研究/発行物

コラム「本当に効く広報対応術」

取材依頼対応の巧拙が記事露出を左右する

佐藤 浩清(さとう ひろきよ) トラス プランニング代表
PRコンサルタント。元民放テレビ局記者。IT企業、金融機関の広報マネージャー職を経て、独立。IT企業等をクライアントに持つPRコンサルティング会社「トラス プランニング」代表。

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■「自社を把握できない広報」を記者は避ける
■「取材意図を理解する企業」を記者は選ぶ

■Check Point


■「自社を把握できない広報」を記者は避ける

社内を把握できていればメディアの信頼は保てる
社内を把握できていれば
メディアの信頼は保てる
 いわゆる広報のハウツー本には、記者からの取材依頼について「その場で答えられない場合、確認して10分以内に返答」「約束した時間までに連絡する」と模範解答が載っています。ところが、この対応だけでは不十分です。素早い取材対応のためには、広報部門だけでなく社内全体の体制や意識醸成が常日頃から必要なのです。

  民放テレビ局の記者時代、私は毎日2本程度の取材(いわゆるデイリー取材)をしながら、週1回の企画コーナーを担当していました。デイリー取材は、放送の「尺」(放映秒数のこと)が50秒から1分30秒程度のストレートニュース。企画コーナーはレポート(キャスターではなく、記者自身が喋る)形式が中心で、5分程度の尺です。

 企画コーナーでPL法を扱った際、先進的な数社に取材を打診しました。ある企業の広報に取材内容と希望日を伝えて依頼すると、「その内容での取材は問題ないが、社内調整が必要なので、2時間ほど待ってほしい」との返答。そして時間通りに電話があり、「調整がつかず、今日中の返答は難しい。それに取材そのものも難しそうだ」。私はその企業を諦め、他社をあたることに……。広報の連絡は教科書通りで、基本は間違ってはいません。しかし広報担当者が取材対象部門の状況や意思を把握していれば、最初の電話で「取材は困難」、「半日待ってくれ」と言えたはずです。事前に取材の困難さを把握していて社内調整に奔走していたのかもしれませんが、そうであっても、どっちつかずの対応で互いの時間を無駄にしたことになります。不祥事の際を除き、企業に正当な理由があれば、取材を断ってもそれほど記者に悪い印象は与えません。それより、広報が社内を把握していないという印象を与えることの方がマイナスになります

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■「取材意図を理解する企業」を記者は選ぶ

 私が担当した企画コーナーは、5分余の尺ですが、取材、原稿執筆、映像編集に数十時間費やすことも少なくありませんでした。毎週放送するには、かなり先までスケジュールを立て、スムーズに取材を進めなければなりません(時間の無さが番組ねつ造の一因とも言われます)。記者も人の子、広報担当者が素早くこちらの意図を酌み、取材のイメージがつかみやすい企業に足が向きがちになります。この傾向は新聞や雑誌も同じです。メディア側の勝手な都合ではありますが、実は会社対会社で取引をする場合となんら変わりません。一つの取材(仕事)が次の取材(仕事)を生み、露出(受注)が多い企業とそうでない企業の差が広がる構図はこうして生まれていくのです。

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■Check Point
当然ながら対応が素早い
取材者の意図を最大限に酌み取りながらも、できること、できないことが取材依頼の返答時に明確化されている
社内に対して取材内容が正確に伝えられており、撮影やインタビュー、資料提供などで最大限の協力が得られる体制になっている

 上記のために、広報部門が社内各部署を把握し、良好な関係を築いていること、社内調整力があること、取材時にある程度の裁量権があること、そして経営陣も含め社員一人ひとりの広報への理解があること、がポイントとなる。
 これらを実現するには、広報部門が成果を積み重ねて社内での地位/影響力を向上させることに加え、広報の重要性を学ぶ社員教育を行うことなどが有効だ。広報担当者の長期的努力が必要不可欠なのである。
このコンテンツはNTTアドのPR誌『目黒発』第10号(2007年5月発行)からの転載です。
発行時から内容/見解/肩書などに変更のある可能性がございますので予めご了承下さい。

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