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コラム「広報部門、変革の時代」

古い広報意識の広報部は存在意義が薄れる

弘中 勝(ひろなか まさる) ウィンビット代表
ウィンビット代表。PRマーケティングを研究・指導する。各方面で講演・執筆実績多数。総読者数10万人の人気ビジネスメルマガ「発想源」の著者。著作に「顧客と語らえ!」(現代書林)、「アイデアひらめく『ビジネス発想源』」(技術評論社)。

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■PR戦略が激変している
■きめ細やかな情報提供ができるか


■PR戦略が激変している

「ニュース価値の低いリリースが未だに多い。企業のレベルが分かる」(全国紙記者)
 インターネットが登場してからというもの、企業のPR戦略のあり方は従来とは大きく変わってきました。

 これまでのPR戦略は、広報部などの広報業務を専任とする部署を持つ大企業の特権のようなものでした。大企業の広報部は、中小企業が持っていない広報戦略のノウハウ蓄積やマスコミとの密な関係性などによって、PR力の差を大きく引き離していたのです。

 ところが、インターネットの登場で、それまで広報戦略というものを知らなかったのに、大企業に匹敵するPR力を持つようになった中小企業が続々と登場しています。つまり現代は、従来の広報戦略やマスコミとの関係の有無にかかわらずPR力が持てる時代になったのです。

 しかし、このような時代の変化に危機感を抱いている広報パーソンがあまりにも少ないことに驚かされます。インターネットが新しいメディアであることは理解しているのですが、そこに従来のマスコミへの広報戦略を応用すればいいや、という程度にしか考えていない人が多いのです。

 「自分は広報畑に何年もいますから」「マスコミにこれだけ太いパイプがありますから」などという勲功は次第に意味がなくなってくるでしょう。古い広報意識のままでは、あっという間に時代に取り残されてしまいます。

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■きめ細やかな情報提供ができるか

 これまでは、消費者やマスコミが情報を得ようとするならば、企業規模が大きい、または広報活動が活発な企業に尋ねるのが最も早い方法でした。しかしインターネットにより簡単に短時間で情報が得られる現代ではどうなるでしょう。インターネット上などで最も信頼の置ける、つまり有用で有益な情報発信を展開している企業に情報を求めるようになります。

 例えば、新聞社の社会部や番組制作会社が食物の栄養についての取材を行う時には、以前であれば規模の大きな会社から取材を行っていたものが、最近では、消費者向けに最も詳細に分かりやすくレシピや雑学などの情報提供をホームページで行っているような小さな会社や店舗に真っ先に尋ねるようになってきています。つまり、インターネットの影響力は従来の企業規模や広報力とは異なるものであり、今まで測ることのできたマスメディアの視聴率や掲載面積などとは全く別次元のものになってきているのです。

 マスメディアから一方的に情報を享受していた世代よりも、インターネットで自分から情報を好んで探しに行くような世代が増えてくると、企業側が意図的に「広く報せようとした」情報は次第に見向きもされなくなるでしょう。従来のような広報部のパブリシティを受けてマスメディアが報道した情報よりも、さらに信頼できる情報を消費者が自ら勝手に探すようになるからです。このような時代の変化に応じて広報意識を変えながら、時代に即したPR戦略を講じない限り、広報部は社会的な存在意義がどんどん薄れていくのです。

 「広報とは、マスコミを使って広く報せること」などと思い込んでいませんか? もしくは新人の広報パーソンにそのように教えていませんか?

 時代に即した新しいPR戦略を考えるために、これからの広報部はどのような意識変革をしなければならないのか。全6回の連載の中でお伝えしていこうと思います。
このコンテンツはNTTアドのPR誌『目黒発』第7号(2006年11月発行)からの転載です。
発行時から内容/見解/肩書などに変更のある可能性がございますので予めご了承下さい。

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