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Chapter3
今後の「おもてなしコミュニティ」の可能性
拡大へのカギを握る7つのキーワード

今後拡大が見込まれる“おもてなしコミュニティ”について、課題や発展のための要素を7つの切り口でまとめた。重要なことは、外国人だけでなく、「日本人の参加モチベーションのデザイン」、またその際に「誰がどれだけお金を払うのかというビジネスデザイン」の2点だろう。

①「コト」から「ヒト」へ

サービスとして画一的な「コト」体験をするだけでなく、「ヒト」が絡むことで、よりローカルで特別な時間を過ごせるようになる。またその出会いはその場だけで終わらず、帰国してからも連絡を取りあい、海外へも招待するなど、サービスというよりも「友だち」づくりの場となり、結果的に大きな消費が生まれるトリガーになっている。

②バリアフリーな参加

コミュニティ参加の裾野を広げるためには、言語や専門知識などのハードルを下げ、だれもが参加できるようにする仕掛けが重要だ。一方で、誰でも参加できるようになるとサービス品質の低下やニーズとのミスマッチなど、交流よりも専門性・言語力を期待する人とのトラブルが増加することも想定される。また、ハードルを下げるだけでなく、日本人同士のつながりで広げていく仕組みも必要だろう。例えばTomodachi Guideで行っているガイド同士のミートアップイベントや友だち同士で参加できるMEET & EATのような工夫が重要だ。

③フリーミアムな“おもてなし”

おもてなしはサービスを受ける方がお金を支払うのが普通だろう。ところが、おもてなしをすることで対価をもらうのではなく、より充実した時間を過ごすために、もてなす方がお金を支払うスキームも生まれる可能性がある。例えば、ブリティッシュイングリッシュを学ぶために英国人のみに絞ってマッチングしたい場合などだ。つまり、単なるマッチングでなく、精度の高いマッチングを可能にすることでサービス提供者のさらなる収益につながる可能性がある。

④おもてなしQualityの可視化

類似サービスが乱立・多様化していく中で、口コミRating等、サービスや参加者の“品質”を担保する仕組みが求められる。有償・無償のサービスがある中で、外国人旅行者が何を求めているか(案内の質なのか、友だちのような交流なのか等)とのギャップが事前に解消されるよう、集客時の広告やWebサイトなどでの丁寧な説明の工夫が求められる。

⑤おもてなし文化コンテンツ

日本人が紹介したい、あるいは外国人が喜びそうだと考える文化コンテンツと、外国人が実際におもしろいと感じる文化コンテンツには、ギャップがある場合がある。例えば、Huberの紀陸氏によれば、外国人は豪徳寺の招き猫にとても興味を持つのだそうだが、そのような外国人に喜ばれる文化コンテンツの集約・共有などが重要になってくる。Huber社はガイドたちからそのような外国人が喜ぶコンテンツを定性情報として集約し、地域の活性化に役立てている。

⑥ネオ汎アジア世代

アジアの国々と、上下でなく共感によって文化・人と結びつく若い世代が生まれてきている。彼らは、ソーシャルメディア上の画像や#などを活用しながら、非言語的な感性でのつながりを生んでいる。韓国の文化コンテンツがアジアに浸透しているというニュースも目にするが、ビジュアルでつながることのできる「インスタ映え」文化コンテンツをどう活用するか、今後そのようなオンラインコミュニティをどうビジネスとして活用できるか検討する価値はあるだろう。

⑦「英語」から「多言語」へ

英語を話せるようになりたい人は多い(71%)が、英語以外への意欲は低い(45%)。訪日外国人を見ると、韓国や中国など非英語圏からの訪問も多く、コミュニティに参加できる外国人を増やすためには、英語以外の対応をどれだけ拡大できるかが重要だ。

おわりに

今回“おもてなしコミュニティ”に焦点を当て、取材・調査を行った結果、その可能性は想像以上に大きいことを実感した。「日本は閉鎖的な国」というのが、海外から見た印象だろう。その要因の一つには「言葉のかべ」がある。今回取材したコミュニティは、日本人の「英語コンプレックス」をポジティブに解消できるポテンシャルがある。また、そもそも「かべ」を超える必要すらない、非言語的なつながりも大きな可能性を感じさせる。そのつながりを生むのは文化コンテンツなど「心を動かす」もの。感動は言語を超える。

2020年には最強の「感動・興奮コンテンツ」が生まれる。このコンテンツを、われわれ日本人は世界の人とつながるために、どう活かすことができるだろうか。今回の研究で導き出された“おもてなしコミュニティ”の可能性と課題に向きあい、2020年には世界中の人とつながり合う最大のおもてなしコミュニティ「日本」を目指したい。

「空気読本」制作チーム

  • NTTアド コミュニケーションデザイン局
    コミュニケーションデザイン担当部長
    星埜 孝
  • 大手広告会社で経営企画室、マーケティング局などを経て、2001年にNTTアドへ。 コーポレートブランディングから広告コミュニケーション、エリアマーケティングまで 幅広い業務に携わり、2012年より現職。NTTアドの戦略プランニング部隊を率いる。
  • NTTアド コミュニケーションデザイン局
    コミュニケーションデザイン担当係長
    宮下 志朗
  • 外資系広告会社を経て、インサイト研究を基軸としたコミュニケーションプランニングを専門とする。15年間マーケティング一筋で、消費財、自動車、金融、IT、流通など幅広い業界の顧客を担当。現在、テクノロジーと気持ち、その先にある未来を研究中。