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Chapter3
2020年、テクノロジーによって、
カスタマーエクスペリエンスは想像を超え、
人間の能力は限界を超える

今回の調査結果により、“テクノロジーを活かして東京2020大会を楽しみたい“”テクノロジーを活かして自らスポーツを楽しみたい“という生活者ニーズが予想以上に高いことが判明した。今後、官民連携によるイノベーションの創出と、さらなる生活者ニーズの高まりによって、想像を超えたカスタマーエクスペリエンスと、人間の能力の限界を超えたスポーツドラマが生み出されていくかもしれない。

「See」から「Experience」へ

東京2020大会で楽しみたいテクノロジーは、各クラスターで異なる。例えば、「新しい撮影/データ解析技術を使い、これまで速過ぎて観られなかった選手の動きが観られる(全体では46.7%)」「人工知能を活用した審判によってミスジャッジのない試合・競技が観られる(全体では45.5%)」といったAIや映像技術の活用については、「スポーツLOVER」と「みんなでワイワイ派」の意向が全体に比べて5ポイントから10ポイント以上も高い。つまり、東京2020大会への関心の高いクラスターであるほど、テクノロジーによって競技内容の質や娯楽性が高まることを望んでいるわけだ。また、「スタジアム等で試合を観ながら、リアルタイムで選手情報やリプレイ映像がスマホで観られる(全体で37.3%)」「5Gなどの高速通信によって、どこでもスマホなどで高解像度映像が観られる(全体で31.6%)」「選手の運動量や心拍数などのコンディションの情報がリアルタイムで観られる(全体で25.8%)」といった選手の動きやスタッツ情報が可視化されるテクノロジーについては、「スポーツLOVER」と「がちサポーター」の意向が全体に比べ5ポイントから10ポイント以上も高く、スタジアムでの観戦とスマートフォンを併用することで、よりプレーに肉薄したいという欲求が垣間見える。

東京2020大会で楽しみたいテクノロジー全般に対して意向が高いクラスターは、「スポーツLOVER」である。彼らは、上記に挙げたテクノロジーに加え、「ヘッドマウントディスプレイ等で、自宅にいながらあたかもフィールドに立っているかのような目線で観られる(同クラスターで62.5%)」といった、VR(仮想現実)への関心も高く、没入感と臨場感により、競技者を疑似体験したいとも感じている。スポーツの「Do」も「See」も愛する彼らだからこそ、単なる「See」では物足りず、その一線を越えた新たな「Experience」を強く求めていると言えよう。今後、スポーツとテクノロジーの融合は、この「スポーツLOVER」をインフルエンサーとして広く普及していくと考えられる。しかも、2020年、第5世代移動通信システム「5G」がスタートし現在の100倍もの高速データ通信が可能となることで、スポーツ観戦の楽しみは、「See」から「Experience」へと一気に拡張していくことだろう。

「Do」スポーツは、人間の能力の限界を超えていく

スポーツとテクノロジーの融合は、「See」だけではなく「Do」の楽しみも拡張していく。テクノロジーは、人間の能力の拡張や、健康増進・予防医療・リハビリテーションへ、ますます応用されていくに違いない。また、データ分析や映像技術の活用により、より効果的なトレーニングを可能にし、人間の能力を一層高めていくことだろう。

スポーツの「Do」に関するテクノロジー全般に対して意向が高いクラスターは、やはり「スポーツLOVER」である。「スポーツ時の自分の全身の動きを3Dで可視化し、システムで採点してくれる(同クラスターで61.1%)」「ラケット等にセンサーをつけたり様々な角度のリプレイが観られるなど、自分のプレイデータ/映像が観られる(同クラスターで58.2%)」「ウェアラブル機器などで自分の心拍数などコンディションの記録が残せる(同クラスターで58.2%)」など、テクノロジーを活かした自らのスキルアップに関心が高い。このようなトレーニング手法が急速に普及すれば、東京2020大会で、これまでの人間の限界を超えた記録が次々と生み出される可能性は十分にある。

テクノロジーによって新たなカスタマーエクスペリエンスが生み出されれば、結果的に、スポーツ人口が増え、さらにスポーツに関連した製造・小売り業、施設業、興業・放映等が活性化し、新たなビジネスマッチングが創出され続けるだろう。テクノロジーは、スポーツ産業のエコシステム構築の起爆剤となり得るのだ。50年後、100年後に過去を振り返った時、2020年は新しい日本の未来への大きな分岐点となっているかもしれない。

「空気読本」制作チーム

  • NTTアド コミュニケーションデザイン局
    コミュニケーションデザイン担当部長
    星埜 孝
  • 大手広告会社で経営企画室、マーケティング局などを経て、2001年にNTTアドへ。 コーポレートブランディングから広告コミュニケーション、エリアマーケティングまで 幅広い業務に携わり、2012年より現職。NTTアドの戦略プランニング部隊を率いる。
  • NTTアド コミュニケーションデザイン局
    コミュニケーションデザイン担当課長
    小林 勝司
  • クリエイティブ局より、コミュニケーションデザイン局へ異動後、10年以上に渡り、定量・定性調査等による消費者動向分析や幅広いマーケティング活動に携わる。メディアへの寄稿・出演、企業や学術機関等での講演活動実績も多数あり。
  • NTTアド コミュニケーションデザイン局
    コミュニケーションデザイン担当係長
    宮下 志朗
  • 外資系広告会社を経て、インサイト研究を基軸としたコミュニケーションプランニングを専門とする。15年間マーケティング一筋で、消費財、自動車、金融、IT、流通など幅広い業界の顧客を担当。現在、テクノロジーと気持ち、その先にある未来を研究中。